横浜そごう美術館「魅惑のドールハウス展」に行ってきました
2017年1月20日から横浜そごう6階で開催されている「魅惑のドールハウス展」に行ってきました。
開催期間は1月31日までと短いですが、写真撮影もOKで見ごたえがありましたよ。
魅惑のドールハウス展の展示の内容や見どころのポイントなどをまとめましたので、これから見学する方の参考になれば幸いです。
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「魅惑のドールハウス展」について
今回開催の「魅惑のドールハウス展」は、2016年7月にオープンした「箱根ドールハウス美術館」の所蔵品から、世界的に貴重なコレクションや現代作家による作品など約50点をセレクトして展示したものです。
ドールハウス基礎知識
ドールハウスの始まり
記録にある最も古いドールハウスは、1558年にドイツ・バイエルン王国の侯爵アルブレヒト5世が愛娘のために作ったものとされています(焼失しています)。
サイズは12分の1が基準サイズ
ドールハウスはイギリスやアメリカで使用されている尺度、1フィート(約30cm)を1インチ(約2.5cm)に換算して作られることから、12分の1が基準のサイズとなります。
各国での呼び方
日本でも一般的な「ドールハウス」という呼び方はアメリカ式の呼び方です。
イギリスでは「ドールズハウス」、ドイツでは「プッペンハウゼン」と呼ばれています。
世界の二大プライベートコレクション
ドールハウスの世界には、イギリスの「ヴィヴィアン・グリーン・コレクション」と、アメリカの「モッツ・ミニチュア・コレクション」という世界の二大プライベートコレクションと呼ばれるものがあります。
「魅惑のドールハウス展」の内容と見どころ
展示の様子を順番にお伝えします。
チューダー様式の現代の家(1996年 イギリス)
1996年と比較的最近作られたイギリスの作品「クリスマスイブ」です。
(写真がピンボケしてしまったので、ジュニアガイドでご覧ください。。。)
古い建築様式の建物と、現代風の部屋の中の対比が鑑賞のポイント。
これは、イギリスでは歴史的な建物は昔のままの外見にしておくことが義務づけられているため、ドールハウスもそれに倣ってレイアウトされているのだそうです。
ジョージ3世の紋章付きハウス(1800年頃 イギリス)
ハウスの上部中央に、イギリスを1760年から1820年まで統治した国王ジョージ3世の紋章がついた由緒あるドールハウスです。
ハウス自体は当時のものですが、中の調度品はその後200年にわたって揃えられたものだそうです。
小物類は由来が不明なものも多いそうですが、ツイスト柱が特徴的なベッドは1800年代に作られたということがわかっています。
当時のコインを溶かして作ったスプーン、国王と摂政皇太子の横顔の飾り皿、シュパーテンビールのジョッキ、ロイヤルドルトンのスタンプが押された水差し等。
特に、金属製のドミノゲームとカラトリーボックスが小さいのによくできていて興味深かったです。
イギリス「ヴィヴィアン・グリーン・コレクション」
ヴィヴィアン・グリーン(1904~2003)は、1700年代から1900年代にかけてのドールハウスを収集し、イギリスのドールハウスコレクションの草分けとなった人物です。
《ハスケル・ハウス》(建物:18世紀後半/内装:1920年代 イギリス)
貴族のアーノルド・ハスケル卿が、ヴィヴィアン・グリーン・コレクションのために供与したドールハウス。
アーノルド・ハスケル卿の母によって手作りされたという、豪華な飾りつけが見所です。
《セント・フェイスズ(聖フェイス館)》(1870年頃 イギリス)
《アイビー・ロッジ》(1886年 イギリス)
扉が閉じられているので窓越しに覗いていくと、日本風の屏風が飾られているお部屋もありました。
《セダーズ・ウッドブリッジ》(19世紀後半 イギリス)
ハウスの全面だけでなくサイドも開く珍しいタイプであるということです。
書斎、食器室、客室、育児室、寝室があります。
アメリカ「モッツ・ミニチュア・コレクション」
「モッツ・ミニチュア・コレクション」は、ミニチュア好きのモッツ夫妻が1948年にアメリカで公開したコレクションです。
《デイモン・バンガロー》(1930年代 アメリカ)
モッツ夫妻が最初に住んだアイオワ州の家をモデルに、1932年当時のアメリカの庶民の生活様式が再現されています。
幅193×奥行102×高さ60cmの大きなドールハウスで、四方面から鑑賞することができます。
ダイニングルームのシャンデリアには実際に明かりがともっています。
猫の親子がかわいい。
その他にも、キッチンやサンルームなど見る部屋がたくさんあって大変です(笑)
《モッツ雑貨店》(1930年代 アメリカ)
1914年頃にアイオワ州のに実在したお店を再現しています。
圧巻の雑貨たちは、手作り品であったりモッツ夫妻が長年かけて集めたミニチュアコレクションをバランス良く配置したもの。
カウンターに赤ちゃん用の体重計があったり、こぼしたミルクを猫がなめていたり。
ショーケースの劣化?が時代を感じさせます。
《ピルグリム(清教徒)の住居》(1930年代 アメリカ)
華やかさはないので何だろうという感じでしたが、17世紀にイギリスからアメリカに移住したピューリタンの住まいの様子で、ネイティブアメリカンに色々と教わっている場面だそうです。
手前にはヨーロッパ人にとって新しい食材であったポップコーン、右側には折り畳み式のベッドがあります。
《モトロポリタン美術館》(1930年代 アメリカ)
メトロポリタン美術館とモッツ夫妻の名から名づけられた、洒落の利いた作品。
ダビデ像やモナリザなど有名な美術品がズラリ。
作品のほとんどがパリのルーブル美術館にあるものです。
絵画の多くは雑誌や本からの切り抜きで、油絵っぽく見せるために加工されているそうです。
映像体験コーナー
半分くらい見たところで、映像体験コーナーが。
指定の場所に立つとスクリーンのドールハウスの中に小さい自分が出現します。
現代作家の作品など
展示の後半はアンティークなものから現代作家の手掛けたドールハウスまで、バラエティに富んだ展示になっていました。
アメリカ、イギリスだけでなく、ドイツやフランス、日本のハウスもありました。
《トーマス・ハーディの家》(1998 イギリス)
イギリスの文豪トーマス・ハーディの家を、藁葺屋根を得意とする作家グラハム・ジョン・ウッズが手掛けたもの。
外壁の花、室内の家具などは専門の職人によって作られたそうです。
《四方形の赤い家》(1880年 イギリス)
ドールハウスとしてはとても珍しい形で、覗くお部屋がたくさんあります。
《英国の鉄工場》(制作年不明 イギリス)
《タイムの部屋》(19世紀末 フランス)
雑誌『TIME』に掲載されたことから、その名がついたそう。
《日時計とエレベータ付きハウス》(1865年 イギリス)
当初は、ハウス中央にゼンマイ仕掛けのエレベーターがあり、実際に昇降させることができたらしい。
車や機関車のフィギュア
スポーツカーやハリーポッターに出てくるホグワーツ特急のミニチュアの展示もありました。
シルバニアファミリー
終盤にシルバニアファミリーのコーナーが。
ジブリ風?のドールハウスを作成したのは工藤和代という有名作家さんで、その作品がTVで紹介されたこともある方。
シルバニアファミリー歴代のお家。
その歴代のお家数点が展示されていました。
シルバニアファミリーオールスターズ、うちの実家にも何匹かあると思われます。
日本ドールハウス協会の作家さんの作品
日本ドールハウス協会の作家さん達の作品が並んでいるコーナー、くるくる回転し目を引く作品もありました。
「魅惑のドールハウス展」のグッズ
「魅惑のドールハウス展」オリジナルの図録は無く、箱根ドールハウス美術館・館長の新美康明の書籍『ドールズハウス―ミニチュア世界の扉を開く』が公式テキストとして販売されていました。
アマゾンでも販売されています。
箱根ドールハウス美術館のグッズが多く販売されていました。
シルバニアファミリーの玩具やドールハウス関連の書籍。
ドールハウスのパーツ類が多く売られていたのが印象的でした。
感想
ドールハウスというのが小さいだけの世界ではなく、その時代にしかない生活様式を閉じ込めた歴史的価値もあるものだということがわかりました。
撮影OKといっても、館内の照明が薄暗かったりで限界があります。
間近で覗き込むようにしか見れない細かい部分があるので、実物を見たほうがインパクトがあると思います。
開催期間は1月31日までと短めなので注意してくださいね。
- 名称:「魅惑のドールハウス展」
- 開催期間: 2017年1月20日~1月31日
- 開館時間: 午前10時~午後8時
- 入館料: 大人1,000円、大学・高校生800円、中学生以下無料(ミレニアムカード、クラブ・オン・カードの提示で値引きあり)
- 開催場所: そごう横浜店6階
- 電話番号: 045-765-2111
- 美術館URL: https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/index.html